安全に急ブレーキをかけるには

急ブレーキについて

そもそも急ブレーキはできるだけ避けるだが、どうしても必要な状況も出てくるものだ。
そんなときには、転倒などのトラブルを起こさぬよう安定した形で停止することが求められる。
ブレーキの基本はシフトダウンしたうえで前後のブレーキをかけ、最後は足を地面につけて着地が原則だ。
ただ急ブレーキの場合はシフトダウンする余裕がないことも多いため、ブレーキをうまく使いこなせるかが非常に重要な鍵となってくる。

バイクのブレーキには前輪・後輪の2系統があり、両者をうまく使いこなしながらブレーキングを行うことになる。
とくに急ブレーキで重要になるのが、前輪のブレーキだ。
両者の比率は前7:後3くらいが理想的とよく言われているので、この比率でどちらか一方に比重を傾けすぎないよう注意し、タイヤがロックしてしまうのを避けながらバランスよく原則していくよう心がけたい。

前輪のブレーキをかけるときには、力をこめすぎるのではなく素早くレバーを引くのがコツだ。
つい焦って強く握りしめてしまいがちだが、素早くレバーを引いたうえで強く握り込んでいくクセをつけたい。
一方、後輪のバイクは強さを一定させた状態で踏み込むことで車体を安定させることができる。
こうした前後のブレーキの扱い方も、意識して練習してみるとよいだろう。

急ブレーキをかけるときの乗車姿勢

急ブレーキの際の乗車姿勢の原則は、ハンドルをまっすぐにして車体を立てた状態を維持することだ。
これは先述した前後のブレーキをバランスよく扱う上でも、重要なポイントとなる。
急ブレーキの際にはどうしても体が前傾姿勢になりがちだが、そうならないよう、体のバランスを維持することも忘れないようにしたい。
コツとしては、前のめりになりやすい体の勢いをできるだけ下半身に逃がすことだ。

急ブレーキをかける際には下半身をバイクに固定されるよう意識しつつ、できるだけ前のめりにならないように心がけたい。
膝と太ともでタンクをしっかり挟んで、背筋と腹筋を使って安定した姿勢を保つ練習を日頃からしておくと、いざというときに姿勢を崩しにくくなるだろう。
そして停止する際には、右足でリアブレーキを踏み続けたまま左足を地面につけて停車する。
シフトダウンする余裕がある場合には、足を踏み変えて1速まで落としたうえで最終的に足を着けて停止させることになる。

現在のバイクにはABS(アンチロックブレーキシステム)が搭載されており、急ブレーキの際にタイヤがロックしてしまうのを避けられるようになっている。
その分、危険が少なくなったとも言えるわけだが、やはり油断は禁物だ。
転倒や衝突などのリスクを避けるためにも自分でしっかりバイクを制御したうえで急ブレーキをかけられるテクニックを身につけておくようにしたいものだ。